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和太鼓活動の紹介

長崎県立ろう学校で和太鼓チームが結成されたのは平成7年度。学校行事の一環として取り組んだことがきっかけで活動が始まり、今年で16年目を迎えます。ろう学校では聴覚に障害のある子どもたちが学校生活を送っていますが、聞こえ方に個人差があり、音楽を楽しむことがどうしても限られてきます。その中で体を動かすダンスや、振動を体で感じる和太鼓はみんなで楽しめるということもあって、多くの子供たちが興味を持ち、チャレンジしています。
 和太鼓は打つ時の気持ちや思いがそのまま音や振動となって体にぶつかり、その振動で音を感じ取ることができるため、難しいリズムも思い通りのバチさばきができると、それが励みになり自信につながっています。
 チーム名は「長(なが)ろう太鼓」。中学部・高等部と幅広い年齢層ですが、それぞれ練習できる時間を調整しながら学校行事や地域の交流会などに向けて練習に励んでいます。


聴覚障害者の和太鼓は特別な方法で練習?

 和太鼓の皮は牛皮でできています。そこから響いてくる音はおなかに直接伝わり、心地よい気持ちと確実に伝わる音を実感することが楽しく、何度も繰り返すうちに自然と身体が覚えてしまいます。子どもたちが本当に楽しんでいることが良くわかる瞬間です。

こうしたなか行われる練習なのですが、実は特別な方法で指導しているわけではなく、指導者が伝えた音を聞いたまま打ち返す練習をしているのです。もちろん楽譜もなく読み方の勉強会もしていません。いい加減と思われがちですが、一生懸命身体で覚えようという気持ちがあり、しばらく練習を続けているうちに覚えてしまいます。しかし、聴力とは別にリズム感があるかないかでかなり技術的に差が出てきます。

― 右手に合わせる工夫 ―

 簡単なリズムやゆっくりとしたものであれば、みんなと合わせてたたくことが比較的簡単にできるのですが、スピードが上がるにつればらつきが出てきたり、複雑なリズムではうまく合わせることができません。そこで、指導者の動きを目で見て、それに合わせて一緒に打つという練習を繰り返し行なっています。基準となる人の動きに合わせて打つ練習です。手の振りを意識しながら合わせるという方法で、拍子やタイミングが合ってないとすぐに合図で知らせます。どんな感じがあっていないのか、ずれているのかを自分の感覚や感じで見つけ出すまで繰り返し練習します。指導者の叩く右手を見て、その振りに合わせて自分の右手も合わせられるような練習です。合っている時、合っていない時、何が違うのか、聞こえ方がそれぞれ違うため、自分なりの方法を見つけ出すのです。自分と指導者の振りの違い、動き、様子、クセを観察し、合わせるコツをつかむことが大きな課題です。