平成22年度 心に響く人生の達人セミナー

日時:平成22年11月17日(水)17:45〜18:45

講師:遠 田 公 夫 氏(セントラルホテル佐世保 会長)

昭和21年 北海道小樽市生まれ(64歳)

演題:「智恵を出せば何とかなる! 挑戦、日本一」





 ○ 夢を持つ事の大切さについて
何年か前、学生2人をバイトで雇いました。そのうちの一人の学生の長所は素直なところでした。1つ約束したのは“休まない”という事でした。本当に休まずに真面目に働きました。素直という事は可愛がられるということです。先輩達に可愛がられて、一年間で貯めたお金が120万です。ある日「将来の夢は何か。」と聞くと「美容師になること。」と言います。最初に約束した“休まない”という約束を守り、真面目に働きましたので私の信用を失くさないのならという約束で東京の美容室を紹介しました。毎年、帰省した時にはうちのホテルの厨房にやって来ては手伝って帰って行きます。一生懸命にひた向きに働きましたので3年後には雑誌にも載るようなカリスマ美容師になりました。
 もう一人のバイトの学生は素直さもありましたが、とにかく愛嬌が良い学生さんでした。失敗してもすぐに謝ることができる。先に謝られると怒れないのです。この子も1年半くらいで120万くらいお金を貯めました。将来の夢は「ファッション業界で働くこと。海外で活躍したい。」と言いました。卒業後、19歳で海外へ。英語も喋れません。その2年後帰国。20代前半でなんとブティックのオーナーです。女社長です。今は結婚して子供もいますので、子育てで2ヵ月休んでは復帰して海外に行ったりしています。
 私自身もいろいろな経験をアルバイトでさせて頂いたのでそれが今、役に立っています。
例えば、学生の時、魚を仕入れて冷凍庫に入れるバイトをしました。その時に魚の名前をたくさん覚えました。今厨房を見に行くと誰よりも魚の名前を知っています。また、少し英語が喋れたので仕事でアメリカに行く機会がありました。約35年〜40年前です。その時に出会ったショーコスギさんの夢は「アメリカに道場を開くこと。」当時のアメリカはまだまだ人種差別がひどかったんです。私達のような色付きの人種は、トイレも別々でした。そんな人種差別の中で大変困難な目に遭って、その困難を乗り越えハリウッドで忍者スターとして大成功。当然、道場も大成功です。その時息子のケイン・コスギが日本で人気があったのでマネージャーに言われ日本に活躍の場を移しました。その時マネジャーの裏切りに遭い道場も失われています。しかし、幾多の困難を乗り越えられて来たのでその困難も乗り越えられています。嫌なこと、困難な事を乗り越える力を養う必要はあります。それは将来の蓄えになるのです。

○ 知恵を出すことについて
 ホテル経営は難しいです。社長として経営に失敗したら従業員を路頭に迷わせることになります。勤務時間の中で暇な時間があるんです。その時に何かしようと話し合いをしました。車の窓拭きをしようと決めました。もっと時間がある時は洗車です。そうすると大変喜ばれるのです。「あそこのホテルは駐車場に入れると窓拭きをしてくれる。」「洗車までしてくれる」と評判が客を呼ぶのです。  
 もっと知恵をだして“ほめアンケート”という制度を始めました。相手が望んでいる事をしてあげるのです。喜んで頂いて感動を与える事ができます。「○○さんの接客が大変よかった。」「○○の場所が分からず困っていたら○○さんがすぐに教えてくれた。」私達はトイレ掃除の方にも接客の仕方を訓練しております。社員全員ネームプレートを付けておりますので感動を与えることができたならば、その社員の名前をアンケートに書いて頂きます。臨時のボーナスにつながるのです。社員には“表情を大事にする”“心のこもったおもてなしをする”“家庭の温もりを出す”ということを常に心がけるよう言っております。
佐世保から五島までの一番早い船がでるのが7時半なんです。7時半からの朝食ではその船に間に合いません。そこで6時半から朝食が出せないかと提案しました。従業員は最初反対しました。「6時半から朝食を出すためには私達は3時半には家を出ないと間に合わない。バスがありません」と大反対です。そこでタクシーで何人か乗り合わせて来るのとバス代を計算したところタクシー代が安いのです。タクシーは家のすぐ横に着きます。
従業員達もバス停まで歩いたり、バスに乗る時間の短縮ができて喜んでいます。そこで私達のホテルは長崎県で一番早くオープンできるホテルとなりました。

○ 報告、連絡、相談することについて
 失敗しても先に報告されると怒れないんです。逆に隠されると犯人探しをしないといけない。失敗を報告しないと、いつばれるかとストレスがたまるんです。私の友人ですが、たった1つの事を上司に報告しなかったために、後少しで本部の局長を務めるところだったのですが駄目になってしまった例があるんです。その友人がある都市の局長をしていた時に、彼の部下が会社の事をばかにされ喧嘩を一般の方としてしまったのです。彼の部下からは報告があったのに、私の友人はそれを上司に報告しなかったのです。それがばれて私の友人は出世が駄目になってしまいました。
 また、私の会社でタクシー通勤が始まった後日、若い女性の従業員のお父様からお電話がありました。「うちの娘はお宅のホテルで勤務しておりますか?」と確認の電話です。なんでも朝早く、黒いタクシーが家の横に着いてそれに乗って行く。これはおかしいと思われたそうです。相談することは自分の信頼を上げることにもなるんです。99%は相談しないで失敗するんです。

○ みなさんへ
 人に優しく接することを忘れないでください。うちの従業員の60歳以上は全体の25%です。特にお年をめした方には親切にして下さい。
人に信頼される人になってください。とにかく真面目に働くと必ず得るものがあるんです。仕事場には人より早く行って、人より遅く帰る。そうやって信頼を得るのです。


【生徒感想文】
●夜間部1−A 女子
 私は前に遠田会長とホテルでお会いしたことがありましたが、その時同様、笑顔あふれる元気な人でした。「人生の達人セミナー」と聞いていたので凄く頭の固い真面目な人を想像していました。けど、内容を聞いていると、ホテル業に関することだけじゃ無く、普段の生活の中で人と接する場面、友人との付き合い方など、とても勉強になり、大変おもしろく聞くことができました。ホテルでは、正社員だけじゃなく、パートさんやトイレの清掃係の人まで、接客の仕方を教わるんだと知り、びっくりしました。大人から子ども、赤ちゃんまで、誰もが「ここに来て良かったぁ、また来たい、ありがとう」と思われるようにさまざまな努力をしているんだと感心しました。また、失敗したことは、必ず大声でみんなの前で発表するというのは、素晴らしいことと思います。その人の信頼が得られるだけじゃなく、それを聞いた周りの人も“気を付けよう”!という気になれると思います。私もレストランのアルバイトを始めて、接客の仕方については、よく注意されます。無愛想なお客様に対しても、大きな声で笑顔を忘れずに接すること!「お客様に満足していただくのは当たり前のことなんだ」そこは、「0(ゼロ)」であって、そこからどれだけ「+(プラス)」を生み出せるかが大事だと教わりました。これから大人になっていく中で、たくさんの人と出会い、経験していくと思います。今日、聞いたことを忘れずに、将来に活かしていきたいです。

●夜間部2−A 女子
 いつもこういう講演などはだらだらと長くて眠くなるような講演ばかりなのですが、今日の講演は長かったけど、おもしろくとても心に残る講演でした。
 まず初めにあったすごい学生さんの話の中であった、「素直になる」「辛いことも何でも経験する」「苦しいことを乗り越える力を持つ」という言葉を聞いて、明日からアルバイトで実践してみようと思いました。私も今のアルバイトを辞めるときに「辞めないでほしい」と言ってもらえるようになりたいです。
 後半のホテルの話はもの凄いサービスに驚きました。ぜひ利用してみたいと思いました。(いつか利用するかもしれません(笑))就職するときにその接客法を生かしたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

●夜間部3−A 男子
 今日の話を聞き、遠田さんのお話の演題「智恵を出せば何とかなる!挑戦、日本一」というのを見て僕の身の周りにも頭が悪いからと最初から何もしない人と、とにかく最初に何かやってみようとする人がいます。僕はどっちつかずです。母にもよくやる前から諦めないで挑戦してみなさいと言われてきました。挑戦することで人間をみがくことができるとずっと言い聞かされてきました。しかし智恵を出しても最初からIQが高い人と低い人がちえを出し合ったらそれはIQが高い人が上です。IQというものは人間がもともともっているもので努力でちしきが上がるのは、IQではないそうです。同じ時間をかけてもやはり差があります。しかし遠田さんの話を聞いてそういうことが関係なく何か引かれるものがありました。この一言が心に残りました。「人に可愛がられる人になること」ということが心に残りました。そして一生懸命がんばる事ということで僕も頑張らないといけないと思いました。自分は「ごめんなさい」や「すみません」を言いすぎてしまいます。なのでもう少し考えて使いたいと思いました。遠田さんの話を聞いて少し自分も変わろうと思いました。