人工内耳って何??

 ○人工内耳って?

 補聴器(ほちょうき)は、損傷(そんしょう)されていない有(ゆう)毛(もう)細胞(さいぼう)に働きかけ、残存(ざんぞん)聴力(ちょうりょく)を期待して音の入力を補償(ほしょう)する装置(そうち)ですが、人工(じんこう)内耳(ないじ)は蝸牛(かぎゅう)に電極(でんきょく)を挿入(そうにゅう)して音感覚(かんかく)を生み出す装置(そうち)です。

 ○人工内耳のしくみ

 人工内耳には手術が必要です。まず、手術で内耳に中に『インプラント』という電極を埋(う)め込(こ)みます。この『インプラント』には22個の『電極』と楕円形(だえんけい)の『受信機』がついています。この「受信機」は側頭骨(そくとうこつ)【頭の横の骨のところ】に埋め込まれます。「電極」は蝸牛(かぎゅう)に埋め込まれます。 この「電極」で聴神経(ちょうしんけい)【聞こえの神経】を刺激して、音が聞こえるようにします。
 人工内耳にはこの『インプラント』と『体外装置』の2つが必要です。「体外装置」は「マイク」と「スピーチプロセッサ」と「送信コイル」の3つからできています。
 「マイク」は外からの音を拾います。
 「スピーチプロセッサ」は「マイク」から入った音を分類して、どの聴神経を刺激したらよいか決めます。
 「スピーチプロセッサ」で決められた刺激が「送信コイル」を通して体内の「電極」に伝えて、聴神経を刺激します。この3つはケーブルでつながっています。
 『インプラント』の受信機部分と『体外装置』の『送信コイル』には磁石がついており、頭の皮膚をはさんで付くようになっています。

人工内耳の体内装置を埋め込んだ模式図
人工内耳を装着した模式図

 ○人工内耳と補聴器の違いは??

 補聴器は音を大きくして、内耳や中耳に音を伝えます。小さな音は聞こえにくく、大きな音は健聴者と同じように大きく聞こえ不快に感じます。補聴器は聞き取る音の大きさの範囲が狭く限られています。
 人工内耳はその人の音の感覚に合わせて刺激する電気の量を決めます。聴神経を直接電気で刺激するので、低い音も高い音も同じくらいの大きさにすることができます。
 人工内耳は音を分類して、聴神経に伝え、脳にどんな音なのか判断させるようになっています。補聴器では聞くことのできない高さの音が人工内耳では聞こえたり、大きな音がうるさすぎずにちょうどよい大きさの音で聞くことができます。

人工内耳の手術には条件があり、お医者さんとよく相談する必要があります。
人工内耳は手術後、すぐによく聞こえ、会話ができるようになるのではありません。
きこえにあわせて『スピーチプロセッサ』の調節や聞き取りの訓練が必要です。

 ○人工内耳装用後は?

 人工内耳を装用(そうよう)しても脳(のう)で環境音(かんきょうおん)と話(はな)し言葉(ことば)を区別(くべつ)して理解(りかい)するまで、しばらく時間がかかります。
 常に装置(そうち)の作動(さどう)状態(じょうたい)をチェックする、聴覚(ちょうかく)を活用(かつよう)させるためのことばがけをするなど、補聴器と同じようにいろいろな配慮(はいりょ)が必要(ひつよう)になります。

このページのtopへ戻る