補聴器や人工内耳をもっと活用しよう!

 人の「聞こえ」には個人差(こじんさ)があります。
 高い音が聞こえにくい人、低い音が聞こえにくい人、
全体的に聞こえにくい人などさまざまです。そのため、補聴器を使用する人の「聞こえ方」に合わせて補聴器を調整(ちょうせい)しなければなりません。これを「フィッティング」といいます。だから、人の補聴器を()りてもよく聞こえません。
 補聴器は静かな環境でフィッティングしてもらうことが多いです。しかし普段(ふだん)、わたしたちはたくさんの音に囲まれて生活しています。普段の生活の中で補聴器を使って、自分の納得(なっとく)のいくまで、何度も調整してもらうことが大切です。

ところでどうして人には、耳が2つあるのでしょう
 大昔、まだ人が小さな動物だったころ、周りには危険(きけん)なことがたくさんありました。(おそ)ってくる肉食動物、火山の噴火(ふんか)地震(じしん)などの自然災害(しぜんさいがい)

 目で見ることで多くの情報を()ることができても、見えないところで危険が(せま)ってきていることもあります。状況(じょうきょう)は時間によって変化するので、見るだけでは十分ではありません。音を耳で聞き分けることで、危険を知り()げることができるのです。

 二つの耳は、音がやってくる方向を知ったり、よりはっきりと音を聞き分けたりするためです。
 最近、補聴器を片耳だけにつけている人を見かけます。左右できこえに大きな()がある場合は、片耳だけ付けることもありますが、一般的(いっぱんてき)には両耳につけて音を聞くほうが良いようです。両耳に補聴器を付けると、音が聞こえる方向が分かり、よりよく音を聞くことができるからです。

両耳に補聴器を付けている場合
両耳同時に、同じ大きさの音が届くので、正面(しょうめん)から音が来ているとわかる
左耳には、音が遅れて(とど)く。また、音質(おんしつ)が変わるので、右からの音だとわかる。
片耳だけ補聴器を付けている場合
こんな音、聞こえますか?
車のクラクション
救急車(きゅうきゅうしゃ)のサイレン
車のエンジン音
後ろから名前を呼ぶ声
人の足音
小枝(こえだ)()れる音
()れ葉のこすれる音
ドアのあく音
緊急(きんきゅう)放送
           など
音の大きさはわかっても、音の鳴る場所から耳までの距離(きょり)(ひと)しいので、どこから聞こえるか分かりにくい。

私たちの周りにはたくさんの音があふれています。皆さんは右上の四角にある音を聞いたことがありますか?集中して聞くと分かっても、何かに夢中(むちゅう)になっているときは聞こえにくいものです。

 このような音が私たちを危険(きけん)から身を守ってくれているともいえます。
 皆さんの補聴器・人工内耳を使って、周りにどんな音があるか、いろいろな音を聞いてみてください。聞こえにくい音や聞き取れない音があるかもしれません。危険から身を守るためにも、自分には聞きにくい音があることを知っておくことも大切です。

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