補聴器・人工内耳の電池


 皆さんが使っている補聴器・人工内耳の電池は何という種類(しゅるい)でしょう。ボタンのような形をしているので「ボタン電池」と呼ばれたり、空気を使うことから「空気電池」と呼ばれたりしていますが、正極(せいきょく)に酸素を、負極(ふきょく)に亜鉛を使用していることから、「空気亜鉛(あえん)電池」といいます。
 では、どのようにして電気がつくられるか知っていますか?
正極(+)のシールをはいでみると、穴があいていますね。この穴から空気中の酸素を取り()み、負極(−)の亜鉛とともに化学反応(酸化還元(さんかかんげん)反応)を起こし、電流が流れます。空気が取り込めないと電気をつくることはできません。
 一度シールをはぐと、化学反応は続きますから、早めに使い切りましょう。
 夜休む時に補聴器・人工内耳から電池を取り出し、張ってあったシールで穴をふさぐと、少しは放電(ほうでん)(おさ)えることができます。ただし、セロテープなど、張ってあったシール以外を使うことはやめましょう。粘着剤(ねんちゃくざい)が電池内の溶剤(ようざい)と反応して放電が早まったり、使えなくなったりすることがあるそうです。
 電池パックをよく見てみると電池の大きさによって「PR44PR48」や「67513」など数字が書いてあります。(「PR44」と「675」はメーカーによって製品の表示のしかたが異なるだけで、同等品です。)電池は大きさによって数字が決まっていますが、数字の後ろに「PR44P・PR48P」や「675P・13P」などPがついているものがあります。これは、高出力補聴器用のしるしです。シールをはぐと空気穴の数が多くなっていることでも分かります。
補聴器用 高出力補聴器用
PR44・PR48
675 ・13
PR44P・PR48P
675P ・13P
 穴の数が多いのは、空気を多く取り込むことによって大電流を流すことができるためです。人工内耳用には、さらに大きな電流が流せる「675SP」という電池も開発されています。自分の補聴器・人工内耳の取扱(とりあつかい)説明書で、(てき)した電池を確認してみましょう。これまで、早く電池が切れるなぁと思っていた人は、高出力補聴器用に変えると長持ちするようになるかもしれませんよ。
 皆さんは、季節によって電池の()りが違うと感じたことはありませんか? 空気中の酸素を取り込んでいるので、右グラフのように温度や湿度によって使用時間が違ってきます。寒くなると電池は減りやすく、湿度が高くても低くても電池は減りやすくなります。  
 また、石油ストーブを使用していると、空気中の二酸化炭素が多くなり、使用時間が短くなるといわれます。これは、穴から二酸化炭素が取り込まれ、電池内の溶剤と反応して性能(せいのう)を低下させるためです。
 

 電池の性質を理解して、毎日使う補聴器・人工内耳をしっかり管理(かんり)できるようになりましょう。

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知って得する電池のはなし

補聴器の電池は『空気電池』です。

「空気電池」とは、空気中の酸素(さんそ)を使って発電(はつでん))する電池のこと。
電池に()ってあるシールをはがすことで、電池の穴から酸素が取り込まれて発電します。
ですから、シールを貼れば電池の消耗(しょうもう)(おさ)え、長持ちさせることもできます。長時間
使わない時は、シールを貼ってもいいですね。(セロテープは×)

「空気電池」は「乾燥(かんそう)」が苦手

乾燥した中では、電池の寿命(じゅみょう)は80%程度に短縮(たんしゅく)されます。ドライケースにしまう時に電池を
外に出すのはそのためです。また、乾燥している冬は、電池の寿命も早くなります。

シールをはがしたらしばらく待つ

シールをはがしてすぐ使用すると、補聴器の動作(どうさ)が不安定になります。シールをはがしたら、
30秒ほど待って、補聴器に入れてください。

電池の種類は、シールの色で区別されています。

「PR44」(青)「PR48」(オレンジ)「PR41」(茶色「PR536」(黄色)

メーカーは違っても、番号やシールの色は統一(とういつ)されています。
自分の「記号」や「シールの色」は覚えておきましょう。

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