補装具をつけるには

聴力測定について

 本校では,年に3回の聴力測定を行っています。
『裸耳聴力』『補聴聴力』を測定し,補聴器の特性もそのときに調べます。
『裸耳聴力」とは,自分の耳だけを使って,どれくらいの音を聞き取ることができるか調べるものです。
『補聴聴力』は補聴器をつけたときの聴力を調べます。

 検査には特別の音(純音)を用います。時報の「ピッ,ピッ,ピッ,ポーン」という音を聞いたことがありますか?
あのように単純な音を使って測定を行います。
 人の会話に多く含まれる音1000Hz(1khz)を中心に125Hz(から8000Hz(8khz)の音を聴き取ることができるかを調べます。
 音の高さごとにきこえるぎりぎりの音を調べます。


補聴器のフィッティング

 フィッティングとは一人一人の聴力レベルに合わせて、補聴器の音の大きさや音の特性などを調整(ちょうせい)して、 できるだけよい聞こえの状態にすることです。 各自の聴力レベルは本校では50デシベル〜130デシベルくらいまで、また聴力の形(きこえ方)も高い音が聞こえにくい人、 低い音が聞こえにくい人、全体的に聞こえにくい人など、人によって大きな違いがあります。 したがって、フィッティングの最初に行うのは補聴器の選択(せんたく)になります。
 その人の
   聴力に合う大きさの音(出力)が出せるか、
   聴力の形に合わせることがきるだけの調整機能(きのう)がついているか、
などが選択の基準(きじゅん)になります。 実際には出力が大きく調整機能が多い補聴器を選択しておけば、音を小さくするができるので良いのですが、 そのぶん価格(かかく)が高くなることがあります。

 具体的なフィッティングの方法 
 まず、聴力測定の結果(オージオグラム)をもとに

  ・補聴器に入ってくる音をどれくらい大きく増幅(ぞうふく)するか
   【ハーフゲイン法という調整のしかたがあります。 詳しくは聴能部の先生に聞いてね】
  ・どれくらいまでの大きな音が聞こえるようにするか
  ・高温や低音のバランスはどれくらいがよいか     

など を考え補聴器を調整します。 調整した状態は補聴器特性検査(けんさ)装置(そうち)のグラフで確かめます】
  しかし、補聴器の調整はこれで終わりではありません。 外耳の大きさ、イヤモールドの穴の大きさ、チューブの長さなどで、補聴器の聞え方が変わってくるのです。
ですから次に、実際に補聴器をつけたときの音の聞こえ方【補聴(ほちょう)聴力】を調べます。 そしてなるべく人の話し声がよく聞こえるようにスピーチバナナ 【下の図参照:人の声の大きさの分布(ぶんぷ)を表したもの】 をめやすに補聴器に調整を加えます。
 補聴聴力が全部スピーチバナナより上にあれば【図@】一応(いちおう)言葉としてはっきり聞き取れるという事になります。
Aだとスピーチバナナの中に入ってはいますが小さい音の部分が聞こえないので、言葉として正確(せいかく)に聞き取れない事になります。 そのような場合は話がよく聞こえるように話し手に近づくなどの工夫(くふう)が必要です。
 さらに教室や野外(やがい)などいろいろな場所や場面での音や声の聞こえ方を確かめて、 自分にとってよりよい聞こえを求めていく必要があると思います。 

 聴力が厳(きび)しい場合は、補聴器の限界(げんかい)や、大きい音の不快感(ふかいかん)などで最大出力(しゅつりょく)を 抑(おさ)えなければならないなど、現実的(げんじつてき)にはスピーチバナナをカバーするのがなかなか難(むずか)しいことが多くなりますが、 そこを様々なテクニックでぎりぎりまでアプローチするのがフィッテイングだともいえます。
【人工内耳の場合厳しい聴力でも図Bのような設定ができます。】

補聴聴力を大切にしましょう!!

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オージオグラムって何?


みなさんは聴力検査のときに,図のようなグラフを見たことがありますよね。このグラフを「オージオグラム」といい,きこえの程度を表した大切な資料となります。聴力検査のとき音が聞こえたら合図をしますね。これが,自分の聞こえはじめた音の強さで,聴力レベルのめもりに示します。どの部分が聴き取りづらいか,どの部分が聞こえているかを知ることができます。

  「オージオグラム」の見かた

 縦軸は音の大きさを示し,聴力レベルは10dB刻みになっています。横軸は音の高さを示し,周波数はオクターブ刻みになっています。
 上に行くほど小さい音が聞こえ,右に行くほど高い音が聞こえることになります。
右の聴力(気導聴力)
右の聴力スケールアウト
左の聴力 (気導聴力) ×
左の聴力スケールアウト
補聴 聴力
右の骨導聴力
左の骨導聴力

 点線で示されている部分は「会話音域」といって音声の分布の大まかな範囲だと思ってください。この範囲より上に補聴聴力レベルが入っていると,普段話している会話がだいたい聞こえるわけです。この範囲から下になる部分に聴力レベルがくるときこ えが悪くなると考えられます。図の場合は,高い音がよく聞き取れていないことがわかります。サ行音,チ,ツ音などが聴き取りにくいので,それらの発音も苦手になりがちです。

人の話し声はだいたい,ささやき声が30dBくらい,静かな声が40dBくらい,やや大きめの声が60dBくらい,大声が90dBくらいです。フィッティングのときは聴力レベルが「会話音域」の中に含まれるように補聴器を調整して,様々な音が聞こえるように調整しています。

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