補聴器・人工内耳と静電気
 冬になると、空気が乾燥します。私たちの肌も乾燥してカサカサになりがちです。
 そんな時、セーターを脱ぐと…バチっと静電気が走ることがあります。ドアノブに手をかけて、手がびりっとした経験がある人もいるでしょう。雷もこの静電気の一種です。
 補聴器・人工内耳は小さな機器がたくさん組み合わさってできている「精密機械」です。そのため外部からの大きな電圧がかかる静電気は、機械に衝撃を与え、補聴器・人工内耳が壊れることもあります。 金属に近づくと たまった電気が 一気に放電!
 静電気とは、どのような時に起こるのでしょうか。物をこすり合わせると、物の表面近くの小さな電気が一方に集まります。この状態を「帯電」といいます。集まった電気は金属などの電気が通りやすい物に近づいた瞬間に一気に流れ込みます。このことを「放電」といいます。たまった電気が大きくなると空気中でも放電がおこります。大きなものが雷で、火花が散る様子も観察できます。 動くことで、洋服同士や体がこすれあう。

 補聴器や人工内耳は電気を使って動いています。体のすぐ近くに電気が通りやすいものがあることになります。冬になって空気が乾燥していると、体を動かすことで生じた静電気が空気中に放電しにくくなります。また、着るものもセーターやフリースなど帯電しやすいものが多くなります。少しずつ洋服に電気をためていき、ちょっとした衝撃で静電気の放電が起こります。

静電気で補聴器や人工内耳の故障を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
次のようなことに気をつけましょう。
 静電気の起こりにくい環境にする

湿度20%以上にする。暖房器具を使う時は、霧吹きを使ったり、加湿器を使ったりして、乾燥しすぎに注意しましょう。
 静電気の起こりにくい服装を心がける

下着にはレーヨンや綿を着ると静電気が起こりにくいです。ナイロンとウールを重ねて着ると静電気が起こりにくくなります。逆に、アクリルとレーヨンを重ねると、静電気がより多く起こります。(下の表参照)
離れた素材ほど静電気が起こりやすい
+   −
ウール ナイロン レーヨン 人体 綿 ポリエステル アクリル
 静電気がたまっている場合は、金属に触れて静電気を逃がす

冬場は、補聴器や人工内耳を触る前に金属などにふれてからにしましょう。

 補聴器や人工内耳の本体が金属でできているものは、内部の機器が静電気によって故障しないための工夫です。少しの静電気くらいは問題ありませんが、すべり台をすべる時など、多くの電気をため込むので、必ず補聴器・人工内耳をはずしてすべり台をすべりましょう。

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