最終更新日:2023/03/30
学校環境
視覚障害のある幼児児童生徒が、安全に学ぶための環境を整えています。
光に対する配慮
![写真 教室の窓に黒いブラインドを付けている様子。](../images/education_photo01.jpg)
見え方によって、光の強さがまぶしく感じる幼児児童生徒がいます。
そのために、黒いブラインドで光の量が調節できるようにしています。
![写真 卓上ライトを使用している様子。](../images/education_photo02.jpg)
見え方によって、卓上にも光源を使用しています。
移動に対する配慮
![写真 廊下に物を置いていない様子。](../images/education_photo03.jpg)
教室の中、廊下には不要な物を出さず、見えにくくても、見えなくても安全に歩行できるようにしています。
![写真 階段脇の柱の角をクッションで覆っている様子。](../images/education_photo04.jpg)
ぶつかる危険性のある角にはクッションを張っています。
![写真 渡り廊下の点字ブロックが敷いてある様子。](../images/education_photo05.jpg)
点字ブロックも活用しています。
![写真 トイレの入り口にマットが敷いてある。](../images/education_photo06.jpg)
教室やトイレなど入り口がわかるように、マットを敷いています。
教材・教具
「見えない」「見えにくい」ことを補うための教材を使用しています。
大きめの机を使用
![写真 教室に設置された大きめの机。](../images/education_photo07.jpg)
見え方によって、教材の大きさはさまざまです。
見えにくい児童生徒は、拡大教科書やプリントを使います。
見え方によって、使用するプリントや資料の文字サイズを変えて提供します。
![写真 点字板で点字を書いている様子。](../images/education_photo08.jpg)
通常文字が見えない児童生徒は、点字の教材を使います。
点字教科書は通常教科書と違って分冊も多く、点字を書くための点字板も置く必要があります。
見るための補助具
![写真 卓上の拡大読書器を使用している様子。](../images/education_photo09.jpg)
見えにくい生徒は、資料を拡大するための卓上型の「拡大読書機」を使用します。
![写真 卓上の書見台を使用している様子。](../images/education_photo10.jpg)
前かがみにならずに読んだり書いたりするために、書見台を使用することもあります。
![写真 ルーペを使用している様子。](../images/education_photo11.jpg)
さまざまな場面で活躍しているのはルーペ(近距離用弱視レンズ)です。
![写真 単眼鏡を使用している様子。](../images/education_photo12.jpg)
遠くを見るときは、単眼鏡(遠距離弱視レンズ)が活躍します。
視覚以外の活用
![写真 花の観察に実物を活用している様子。](../images/education_photo13.jpg)
見る以外に「触ってみる教材」も豊富です。
さまざまな立体模型や実物を使って、体感して学習を深めています。
また、音を頼りに方向を知るなど、聴覚も活用して学んでいます。
自立活動
本校には、視覚に障害のある幼児児童生徒が通っています。
一人一人「見えにくさ」には違いがあるため、本人の「見えにくさ」に応じてさまざまな「自立活動」に取り組んでいます。
さまざまな活動をする上で困難なことを、練習したり便利な道具を使ったりしてて、できるように学習しています。
本校で学習している自立活動の一部を紹介します。
点字での読み書き
皆さんは、点字に触れたことがありますか?
街中のエレベーターや家電製品、洗剤や清涼飲料水など、いろいろな場所で見られるようになって来ました。
普通文字を読むことのできない視覚障害者にとっての「文字」であり、学習やコミュニケーション、思考を深める手段として、日常生活の中で利用されています。
![イラスト 点字の1マス。](../images/education_photo14.gif)
点字は、一マスが縦3列・横2列の6点で構成されています。
(1マス内にある6つの点は、それぞれ左列の上の点から縦に「1の点」「2の点」「3の点」、右列の上の点から「4の点」「5の点」「6の点」と呼びます。)
この点の組み合わせによって、かな、数字、アルファベット、楽譜などを表現しています。
基本的には、かな文字は表音文字で表されます。
また、点の大きさがほぼ一定であるため、1枚の紙に書かれる文字数にも限界があり、かなり枚数が多くなります。
点字を学習する前にも、さまざまなことを学びます。
- 具体物を触る
- 手の感覚を育てるため、さまざまな具体物を触って学習します。
- 図を読み取る、点を読み取る
- 点字は指先の触覚によって判別しながら読んでいきます。
- 熟練者であれば、かなり早く読むことができるようになります。
- 点を打つ(点字を書く)
- 点字を書くには、点字板やタイプライターがあります。
- 慣れてくると、授業を聞きながらノートを取ることができるまで早くなります。
- 点字の技能を高める
- 校内行事として、「点字記録会」の実施や、2年に一度「全国盲学校点字協議会」にも参加しています。
視覚補助具の活用
見えにくさは個人差があります。
眼鏡やコンタクトレンズを使用しても、十分な視力が得られないことを「ロービジョン(低視覚)」といいます。
全体的にぼやけて見える場合、視野(見える範囲)が極端に狭い場合、暗くなると見えない場合、明るすぎるとまぶしくてよく見えない場合などさまざまです。
この見えにくさを「見やすく」するために「視覚補助具(弱視レンズ)」があります。
弱視レンズは、レンズを用いて光を屈折させ、小さく細かいものを大きく見せるものです。
小さくて持ち運びが便利です。
多くの種類があり、それぞれ短所や長所があります。
見え方や使用目的に応じ、専門的な検査をしたうえで、専門家に選定してもらうことが大切です。
弱視レンズを手に入れて、すぐに使えるわけではありません。
自分にあった弱視レンズを使いこなすためには、練習が必要です。
- 自分の見え方について知る
- 自分にあった視覚補助具のしくみを知る
- 視覚補助具の操作法を知る
これらを踏まえ、見やすくするために視覚補助具の活用ができるように学習しています。
遠用弱視レンズ(単眼鏡)
![写真 単眼鏡](../images/education_photo17.jpg)
短い距離でもピントが合うようつくられており、黒板や掲示板、壁の時計、バスの行き先表示などを見るのに用います。
![写真 単眼鏡で信号を確認している様子。](../images/education_photo18.jpg)
広範囲での目の動かし方、ピントの合わせ方、静止しているもの、動いているものと難易度を上げながら、スムーズに操作できるように練習します。
近用弱視レンズ(ルーペ)
![写真 ルーペ](../images/education_photo19.jpg)
読書や観察など近くのものを見る用途に使います。
![写真 ルーペを活用している様子。](../images/education_photo20.jpg)
対象物と目の距離の合わせ方、すばやく対象物に当てる練習を行います。
拡大読書器
![写真 卓上型拡大読書器](../images/education_photo21.jpg)
見るものをカメラで写してモニターに大きく表示します。
![写真 携帯型拡大読書器](../images/education_photo22.jpg)
机上で用いるもの以外にも、持ち運びできる携帯型の拡大読書器もあります。
![写真 携帯型拡大読書器](../images/education_photo23.jpg)
さまざまなボタンの配置を確認し、活用法を学びます。
対象物の中からすばやく見たい部分を探す練習をします。
机上型は、台の上にプリント等を置いて、筆記する練習も行います。
歩行の練習
皆さんは、移動する際、何を手がかりにして歩いていますか?
一度目を閉じて歩いてみてください。どんなものを感じることができるでしょう。
よく見えている場合は、視覚で周りの情報を取り入れ、安全に移動していると思います。
視覚情報が十分に利用できない場合は、視覚以外のさまざまなものを活用して移動するため、練習が必要です。
盲学校で行っている「歩行の練習」では、次にあげるような様々なことを学習しています。
- 歩行を支える基礎的能力
- 屋内の歩行
- ガイド歩行(手引き)
- 白杖歩行
- 屋内の移動
- 公共交通機関等の利用・援助依頼とマナー
- 歩行を支える基礎的能力
- 将来一人で歩くために適切な姿勢や運動動作の獲得、外界への興味・関心、探索能力、空間概念、知識などを示しています。
- 屋内の歩行
- 教室は学校生活の基盤となります。
- 壁や机などに沿って歩く「伝い歩き」、安全に移動するための「防御姿勢」、その教室内に何があるか、どのように移動するとよいかを理解する「環境把握」など、自在に安全に歩くための学習をします。
- ガイド歩行(手引き)
- 晴眼者(よく見える人)に視覚障害者(見えにくい・見えない人)を目的地まで誘導してもらう方法を「手引き」といいます。
- 視覚障害者が晴眼者のひじを持ったり、肩に手を掛けて行います。
- 手引きの技術だけでなく、マナーなども学びます。
- 白杖を使用した歩行
- 視覚に障害がある者は、白杖を持って歩く必要があります。
- また、白杖によってさまざまな道路の情報を取り入れることができます。
- そのため、白杖の基本的な操作や屋外での移動を学びます。
- ※ 「目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む)は道路を通行するときは、政令で定める杖を携え、または、政令で定める盲導犬を連れていなければならない」と、道路交通法に定められています。
- 屋外の移動
- 一人で屋外を歩くことができることで、自信を持って生活環境を広げていくことができます。
- 道路の様子や障害物の回避方法や車の音の活用など、安全を確保し移動できるように学習します。
- また、路面の状況や周囲の構造物を利用して自身の位置や向かっている方向などを確認・修正して歩くことができるようになります。
- 公共交通機関等の利用・援助依頼とマナー
- バスなどの公共交通機関の構造を知り、乗降場所の位置や乗車方法を学びスムーズに乗車できるようにします。
- また、場所に応じて周囲の人に手助けを求める必要が出てきます。
- 目的地への行き方を尋ねたり、歩行ルートを説明したり援助を依頼する際のマナーも学習します。
ICT機器の活用
パソコンなどの情報機器は、視覚障害者の目やペンの代わりをしてくれる大変便利なものです。
活用できることで、学習環境や社会生活が大幅に改善します。
社会参加のための必要なスキルとして、本校では小学部から高等部まで一貫した教育を行っています。
パソコンの活用
- スクリーンリーダー
- 画面の情報を読み上げてくれるソフトウェア。(音声化する)
- 【PC-Talker】
- Windows の画面情報を読み上げてくれるだけでなく、インターネット・エクスプローラやWord、Excelにも対応している。
- ワープロソフト
- 通常文字を入力し、文書を作成できるソフトウェア。
- 【My Word PRO】
- 視覚障害者専用の操作が容易。
- 点字文書作成用 ワープロソフト
- 点字で文書を作成できるソフトウェア。
- 【ブレイルスター for Windows】
- 視覚障害者用に開発された有料ソフト。
- 【Win-BES 99】
- 点訳ボランティア向けに開発されたフリーソフト。
- ※ 点字印刷するには、特別な「点字プリンタ」が必要です。
- 点図作成ソフト
- 点を使って図を作成できるソフトウェア。
- 【エーデル】
- 図や表をつくるときに使われる。
- 印刷するときは特別なプリンターを使用する必要がある。
- ブラウザ
- インターネットを音声化して閲覧できるソフトウェア。
- 【NetReader】
- 音声やキーボード操作が容易に設計されている。
- 【MyNews】
- より簡単な操作で、ニュース記事が読める。
- メールソフト
- メールをやり取りできるソフトウェア。
- 【MyMail】
- 視覚障害者が使いやすく、音声や画面拡大に対応している。
- 辞書ソフト
- 分からない用語を調べることができるソフトウェア。
- 【声の国語辞典、声の英和・和英辞典】
- 音声や画面拡大に対応。
- 【MyDic】
- 視覚障害者用に開発され、一般のCD辞書やインターネット上の辞書サイトも活用できる。
- 文字読み取りソフト
- 紙に印字された通常文字を音声で読み上げられるよう変換するソフトウェア。
- 【MyRead】
- 視覚障害者用に開発。初心者でも操作が容易。
- 【WinReader PRO】
- 変換精度が高く、音声環境下でも利用が可能。
タブレットの活用
小型で持ち運びのできるタブレットは、設定を変更することができ便利に利用できます。
また、アプリケーションが次々と開発され、音声対応しているものや見えにくさを補うためものなど、便利なものをダウンロードして活用しています。
- アクセシビリティ
- iPadやiPhoneでは、画面を読み上げてくれる「Voice Over」や拡大表示してくれる「ズーム機能」、操作を音声でサポートしてくれる「Siri」などがあります。
- DAISY(デイジー)図書
- 視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人のために作られています。
- 通常図書をボランティアグループや点字図書館などがデータ化し、パソコンや専門機器を使って、図書を読むことができます。
- 目次から任意のページに飛んで読むことができたり、点字図書に比べると大変軽量化できます。
- 拡大表示アプリ
- タブレット画面を通じて、拡大したり、明るさを調節したり見やすくできます。
- 文字や図を拡大するだけでなく、白黒反転したりその人の見え方によって変化させることで、実生活の表示や実験などにも活用できます。
- 色識別アプリ
- タブレット画面を通じて、画面に映った物の色を教えてくれます。
- 色の区別が難しい場合など、色の組み合わせや差異を確認できます。実験などに活用しています。
※ そのほか、データのやり取りやカメラアプリ、教科学習アプリなどを使って、さまざまな学習活動に活用するために操作方法を学びます。
教職員は、専門性の高い項目について「専門部」に所属し、よりよい指導を目指し研修を行っています。
学部紹介
幼稚部から高等部専攻科までの学部・学科があります。
見え方は様々ですが、幼児から成人まで、幅広い年齢層の方が学んでいます。
幼児児童生徒は幼・小・中・高等学校の学習を、また、専攻科では職業自立のための学習を行っています。
幼児児童生徒数(令和5年度)
今年度、盲学校に在籍している幼児児童生徒数は計17名(男 11名、女 6名)です。
- 幼稚部
- 【3歳児】男 0名、女 0名、計 0名
- 【4歳児】男 0名、女 0名、計 0名
- 【5歳児】男 0名、女 0名、計 0名
- 【幼稚部 総計】男 0名、女 0名、計 0名
- 小学部
- 【1年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【2年生】男 1名、女 0名、計 1名
- 【3年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【4年生】男 1名、女 1名、計 2名
- 【5年生】男 1名、女 0名、計 1名
- 【6年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【重複1】男 1名、女 1名、計 2名
- 【小学部 総計】男 4名、女 2名、計 6名
- 中学部
- 【1年生】男 1名、女 0名、計 1名
- 【2年生】男 0名、女 1名、計 1名
- 【3年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【重複1】男 1名、女 0名、計 1名
- 【中学部 総計】男 2名、女 1名、計 3名
- 高等部 普通科
- 【1年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【2年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【3年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【高等部 普通科 総計】男 0名、女 0名、計 0名
- 高等部 専攻科 保健理療科
- 【1年生】男 0名、女 1名、計 1名
- 【2年生】男 1名、女 0名、計 1名
- 【3年生】男 2名、女 0名、計 2名
- 【高等部 専攻科 保健理療科 総計】男 3名、女 1名、計 4名
- 高等部 専攻科 理療科
- 【1年生】男 2名、女 1名、計 3名
- 【2年生】男 0名、女 0名、計 0名
- 【3年生】男 0名、女 1名、計 1名
- 【高等部 専攻科 理療科 総計】男 2名、女 2名、計 4名